インストラクターシズのピラティス日記〜本当のところ〜
ジョセフ・ピラティス(以下ジョー)のメソッドがスポーツジム、クリニック、病院、ダンススタジオなど、私たちが比較的身近に聞いたり体験したりできるほど世に広がったのは、ここ15年から10年の間でしょうか。しかしジョーの歴史的な事実や彼の研究したその過程や内容ということになると、やっと最近になって明らかになってきたことが多いような気がします。
生前に書かれた2冊の書物、スタジオや屋外での練習風景を写したDVD, いろいろな生徒からの証言など、そういったものはもちろんあります。証言といっても、その人の主観が入っていたり、ジョーは個人個人にあった練習を与えていた、ということも伝えられているので、それぞれの証言が微妙に違うようです。
2冊の本からは、彼が求めていたメソッドについての、深くそして熱い考えが読み取れます。そこにはマットエクササイズが写真つきで説明されています。この本を何度も読み返すたびに、当時のジョーの熱い思いを感じる一方で、彼の本当の気持ちは、まだまだ隠されているのではないか、とおもったりするのです。この辺は個人的想像(または妄想)かもしれないので、説明は省きます。 しかし、この本ですべて彼の研究内容を知ることは不可能でしょう。
例えば、ジョーが54歳のときの写真の下には「身体と心のバランスを崩す問題についての科学的研究、実験調査に熱心に取り組んでいる」とかかれています。私はもっとこの実験と結果や、科学的研究とはどんな風だったのか知りたいな、と思うのですが、いまのところ、しっかりと記録された資料を私はまだ見たことがありません。
しかし実際、私たちが知らない資料がまだあるようです。アメリカのショーン・ギャラガー氏という方はピラティス界において、比較的英雄として名を上げられることは少ない方です。彼は資料を「独り占めにしており、世にオープンしていない」といわれています。ギャラガー氏のことは、勝手にうわさだけでは判断できませんし、本当のところは私もわからないので、見方によっては(ことに私の中では)勇士ではないか、と思うことがあります。とにかく、そのギャラガー氏ですが、ピラティスの名称と商標の独り占めをしようとして、2001年裁判に負けました。まだその恨みを持っているのでしょうか。またはなにかビジネス的に考えがあるのでしょか。彼はまだたくさんの資料を公表せずに持っているというのです。理由はどっちでもいいから、資料を見せてほしい、とただ願うのですが・・・。
ジョーの生い立ちや歴史的ドキュメントを調べている、まるで歴史家のような方もいます。それは、良くここまで調べたなあという記録に及んでいて、相当いろいろなことが「事実」としてわかっています。 それでも、ジョーはまだまだ小さな世界の有名人。戦争もあった時代の一個人の記録を、こと細かく知ることはなかなか容易ではないでしょう。 ジョーの親戚といわれる方でさえ、ジョーの誕生日も知らないということも聞きました。
ときどき私の師匠ボブ・リーケンスに、「どうしてこのエクササイズはこうなの」と質問すると、返ってくる答えが「ジョーがそうしたからさ」ということがあります。たいていはジョーが明記しているからとか、後付の納得しうる理論で「なぜ」の部分は回答されるのですが、時々こういう答えがあると、実はちょっとうれしくなります。メソッド自体は科学的根拠に基づいているのですが、いくつかは理由がなくとも、いまのところジョーが言ったとおりにしておこうと私も思うのです。やはり、何もかもが明らかになることはないのだからと。時に「でも私はこっちでやってみる」と試すことはあります。しかしそれは、敬意を持ってして、さらに流派といわれる括りよりも、もっともっと小さな世界で小さな出来事としてだけれど・・・。
プレ・パワーピラティス担当講師 シズ
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